C++ 各バージョン毎の規格書


C++をある程度できるようになった気になってくると、ググっただけでは解決しない(もしくは、得心が行かない)事が増えてくると思われます。
そんな時、C++の全てを定めた原典たる規格書を参照しようという気持ちが強まっていくことでしょう。
しかし、規格書を見よう!と決めても、じゃあ規格書ってどこ行けば読めるん?という問題にぶち当たります。ました。
厳密な規格書はISOから購入することでしか見ることができませんが、幸いなことに同等のもの(主にC++標準化委員会の文書)が無料で公開されており、読むことができます。それらのリンクをまとめたメモです。
以下では標準化委員会文書を文書番号(Nxxxx)で呼ぶことがあります。多くのサイトでも同じような呼ばれ方をしているはずです。あと、基本的に英語です。

C++03

C++03はJIS規格になっているので、JISのサイトからダウンロードできます。
嬉しいことに日本語です。

以下のサイトの"JIS規格番号からJISを検索"の所に"X3014"と入力して検索すると入手できます
日本産業標準調査会:データベース検索-JIS検索

C++11

規格書そのものは公開されていませんが、規格書と同等の標準化委員会の文書(規格書の後に出たtypo修正版とのこと)が公開されています。

N3337のpdf
http://www.open-std.org/jtc1/sc22/wg21/docs/papers/2012/n3337.pdf
短いリンク

少し見やすいHTML版
timsong-cpp.github.io

N3337を元にした日本語解説
ezoeryou.github.io

C++14

規格書は公開されていませんが、それと同等な内容の標準化委員会の文書(N4140)が公開されています。
n4140のpdf(ダウンロードされます)
https://wg21.link/std14
C++標準化委員会のGithubリポジトリ
draft/n4140.pdf at master · cplusplus/draft · GitHub

N4140の後にtypo修正版がN4141として出ていますが、公開はされていません。が、こちらも差分ですがgithubで公開されています。
Comparing n4140...n4141 · cplusplus/draft · GitHub

少し見やすいHTML版(N4140+editorial fixes)
timsong-cpp.github.io

C++14部分の日本語解説
ezoeryou.github.io

C++17

C++11と同じように標準化委員会の文書(N4659)が公開されています。
正確にはこの後にもN4660という文書があるのですが、公開されていないうえ表紙と見出し以外は同じ(N4661より)ということなので問題はないでしょう。

N4659のpdf
http://www.open-std.org/jtc1/sc22/wg21/docs/papers/2017/n4659.pdf
短いリンク

少し見やすいHTML版
timsong-cpp.github.io

C++17部分の日本語解説
ezoeryou.github.io

C++20

C++17と同じようにDIS (draft international standard)相当の文書(N4861)が公開されています。
DIS(N4860)との差は表紙とヘッダ、フッダ、C++17規格とのクロスリファレンスの有無(無い)のようです(N4859より)。

N4861のPDF
http://www.open-std.org/jtc1/sc22/wg21/docs/papers/2020/n4861.pdf

少し見やすいHTML版
timsong-cpp.github.io

C++23

まだ規格として定まっていないため規格書は存在しませんが、標準化委員会ではdraft文書が公開されています。随時更新されていますが、最新のものを以下のリンクから見ることができます。
最新のドラフトPDFへのリンク

こちらは標準化委員会のgithubリポジトリで、最新のものとそこまでのもののPDFが公開されています。
github.com

また、自動的に最新のドラフトをHTMLで見られるようにしてくれているサイトもあります。地味ながらサンプルコードにシンタックスハイライトがかかっていたりと見やすくなっています。
eel.is

・~TS

例えば入る入る詐欺を繰り返しているConcept等C++20に入りました)、検討中で標準入りしていない機能の事です。それらも、検討途中の文書が公開されています。
数が多く随時更新されるものなので一つづつ引用はしませんが、以下のページにそれらのPDFへのリンクがまとめられています。
Experimental C++ Features - cppreference.com

これらの文書はある時点での規格文書への追加・修正点のまとめ、のような形で書かれているため、読むにあたってはベースとなっている規格書を用意した方が読みやすいかと思われます(おそらく最初の方に参照先が書かれているかと思います)。


参考文献
C++国際標準規格 - cpprefjp C++日本語リファレンス
Where do I find the current C or C++ standard documents? - Stack Overflow
JIS X3014 (C++ の規格書) - 閑古鳥
本の虫: ANSIからC++11の規格書が$30で販売されている
C,C++規格冒険記0:事始め - Qiita
N4661